S&P 500銘柄に限っても500銘柄もあって、その大半に興味がないのは当然なのでここではよく話題にのぼるものの自分としては食指が動かないものを挙げていきます。買った株を買った理由つきで書いておけばあとで見返して買った理由がなくなっていれば売るなどができるように、買わない株の買わない理由がなくなればあとで買うこともあるだろう、という感じで他意はありません。
グーグル(GOOG, GOOGL)
Googleはとにかく顧客との対話が下手という印象が強い。ほぼ社内の論理だけで動いてるようにすら思える。さすがに検索については外部との対話が活発なイメージはあるものの、それ以外の領域ではどうも独断専行と言うか、Google内部だけで結論を出して脇目を振らずに進めているように感じられる。
Google Cloud Platformがいまいちぱっとしないのも、ハイエンドAndroid端末をGoogleブランドで出しても(Pixel)いまいち反応が薄いのも、製品が悪いというよりGoogleが悪いのではないかという気がする。別に憎まれているわけではなく、ただ単に全幅の信頼を置くのにどこか躊躇してしまうというような、ちょっとした引っ掛かりが底流にあるような感じ。
他の競合、例えばAmazonは少なくとも口先では「お客様のために」と言い続けてるし、実際に値下げなどがあれば大々的にアピールしている。AWSの値下げのたびに「N回目の値下げだ」と必ず付け加えてくる。「お客様のために」というお題目を信用できなくともN+1回目の値下げは期待できるし、ビジネスパートナーとしてはそれで充分だと思う。Appleもこれに近い。
Oracleも一部ではかなり憎まれ役になっているものの、別の一部とはなんだかんだで深い付き合いが続いている(最近AT&Tと協力してクラウド移行したりとか)。Microsoftも前CEOのバルマーが撒いた不興の種をだいぶ回収できて、最近は信頼を取り戻しつつあるように感じる(まあWindowsが弱まったのでそんなに敵視しなくていいという侮りもあるのかもしれない)。
どんな新サービスであれ新事業であれ、それはとにかく顧客に支持されなければならない。Googleは製品開発力はともかくPRがダメなので、素晴らしいサービスであっても支持されにくく、支持されないサービスは使われず、収益も上げにくく、いずれ撤退するしかなくなる。
というような感触があり、Googleにはどうも手が出しづらい。
アップル(AAPL)
ジョブズ時代とそれ以後で違う会社だと認識する必要があると思う。ティム・クックがiPhoneを作れたとは思えない。ジョブズが会社を追放されて他の人間が経営してた時代は概ねAppleの暗黒時代でもある。つまり、今のAppleはジョブズの遺産を運用しているだけで、前例に照らせば遠くないうちに没落するだろうというのが僕の認識だ。まあとはいえ、ティム・クックは今までの非ジョブズ経営者と違ってジョブズに好意的なので、今までの失敗例をそのまま適用できるとは思っていない。いないが、それでもティム・クックがiPhoneを作れたとは思えない。iPhone、iPad、Mac、App Storeといった今ある事業を粛々と運用するだけならジリ貧だろう。
安定収益企業と呼ぶにはまだまだ不安定だし、成長企業と呼ぶにはどうも疑問符がつく。これといって株を買う理由がない。バフェットが何を見てるのかは知らない。
P&G(PG)
前にも少し書いたけど、最近はそこまで業績好調ではなく、ブランドの整理もするらしい。短期的には不採算ブランドを整理することで業績も改善するだろうけど、それが生活必需品セクターとして正しい施策なのかどうかいまいち自信が持てない。ライオンの「おはようからおやすみまで」っていうコピーが刷り込まれているからかもしれない。「おはようだけ」なら飲料に専念するコカ・コーラや、歯磨きに特化したコルゲートとかのほうが魅力的だ。
不採算ブランドを廃しても成長のためにはいずれ新ブランドを育てていかないといけない。生活必需品セクターでそれをやるのはかなり難しいんじゃないだろうか。生活必需品セクターの強みは消費者が「いつもの」を買うことで安定する、みたいな話だったと思うので、裏返せば再参入は難しいということになるはず。
まあでも実際にどのブランドがどうなるのかは見てないし、今までのブランドの歴史も知らないので、完全にずれたことを言ってる気もする。でも生活必需品セクターが欲しいなら他の選択肢があるような気がしてならない。