特別法人税というのは運用資金(≠利益)に対して掛かる1.173%の税金です。現在は凍結中となっていますが、廃止とかではなく凍結なので解凍される可能性があります。毎月23000円を投じたとして1年間で276000円、1.173%を掛けると最初の1年に掛かる税金が3237.48円にもなります。30年間拠出するとして、それぞれの年の税金額を見ていくと以下のようになります(端数切り捨て)。なお残高は拠出額のぶんだけ毎年増加して、それ以外の変動はしないものとしています。
-- | 特別法人税 | 残高 |
---|---|---|
1年目 | 3237円 | 272763円 |
2年目 | 6436円 | 542327円 |
3年目 | 9598円 | 808729円 |
4年目 | 12723円 | 1072006円 |
5年目 | 15812円 | 1332194円 |
6年目 | 18864円 | 1589330円 |
7年目 | 21880円 | 1843450円 |
8年目 | 24861円 | 2094589円 |
9年目 | 27807円 | 2342782円 |
10年目 | 30718円 | 2588064円 |
11年目 | 33595円 | 2830469円 |
12年目 | 36438円 | 3070031円 |
13年目 | 39248円 | 3306783円 |
14年目 | 42026円 | 3540757円 |
15年目 | 44770円 | 3771987円 |
16年目 | 47482円 | 4000505円 |
17年目 | 50163円 | 4226342円 |
18年目 | 52812円 | 4449530円 |
19年目 | 55430円 | 4670100円 |
20年目 | 58017円 | 4888083円 |
21年目 | 60574円 | 5103509円 |
22年目 | 63101円 | 5316408円 |
23年目 | 65598円 | 5526810円 |
24年目 | 68066円 | 5734744円 |
25年目 | 70506円 | 5940238円 |
26年目 | 72916円 | 6143322円 |
27年目 | 75298円 | 6344024円 |
28年目 | 77652円 | 6542372円 |
29年目 | 79979円 | 6738393円 |
30年目 | 82278円 | 6932115円 |
税合計 | 1347885円 |
まあiDeCoへの拠出による控除を考慮してないのでアンフェアな表ではありますが、どうせ受け取り時には別途課税されるわけで、iDeCoが税を消し去ってくれるわけではありません。あとここでは考慮していませんがiDeCo口座の管理費が別途掛かります。いうまでもありませんが、リスク資産に投資する場合は値下がりリスクもあります。
さて、表を見ると8年目あたりから1ヶ月分の出資が税金で消し飛ぶのがわかりますし、30年間の合計税額は134万円(58ヶ月分の積立額に相当)となります。しかも途中解約ができないため、10年目あたりに急に特別法人税が復活してしまったら最悪です。途中解約も不可能なため黙って国にチューチュー吸われるしかありません。運用益に対しては非課税だという点をたよってハイリスクな商品に全額切り替えるなど、自分のiDeCo口座のROEをひたすら高めるくらいしか自衛手段がありませんが、投資対象商品が厳選されているため、ハイリスクといってもそれほど無茶なものは選べないでしょう。
iDeCoについてまとめると、
メリット:
- 毎月最大23000円を拠出でき、所得控除の対象になる
- 運用益に対しては非課税
デメリット(リスク含む):
- 途中解約が不可
- 積立時には非課税だが受け取り時には課税される(減税ではなく繰り延べ)
- 口座管理費が掛かる
- 特別法人税が復活した場合のコストが無視できない額である
- iDeCo開始キャンペーンに向けて廃止に向けて全力で動いたであろう結果が「凍結延長」
正直なところ、特別法人税を復活なんてことしたら完全に信用を失うので国としても軽々に発動しないだろうとは思うものの、15年後とか20年後に公的年金がやばいとなれば、しれっとiDeCo利用者も負担を分かち合うべきだとか言い出して特別法人税大復活となる可能性を決して捨てきれない、という感じです。というか廃止ではなく凍結というのがまさにその切り札を温存しているわけで、ちらちらと見えてる切り札に目をつぶるにはiDeCoのメリットが小さすぎます。変なリスクを負うよりは積立NISA+ふるさと納税+個人向け国債(+通常の資産運用・貯蓄)で充分ではないかと思います。
以上のように、特別法人税の廃止が正式に決定されるまでは様子見です。資産運用は早期に実施するほど有利なものですが、焦って手を出してもし課税されたらバカみたいなので控えておきます。せっかく各社がiDeCoキャンペーン中で有利に始められるのになあ…。